教えてください
- 落合葉子さん(福岡県北九州市)
- 「毎日の食空間を、今よりも、もっと楽しく!もっとオシャレに!」がモットー。テーブルコーディネートも、料理も「なぜ?」「どうして?」を大切に、モノの道理を分かりやすくお伝えすることを心がけ、すぐにご家庭で実践して頂ける内容を、お伝えしています。
お教えします!
- 新井政尋さん(福岡県北九州市)
- 辛子明太子を製造して30余年。「できるだけ自然に、しかもおいしく。」を理念に添加物は極力抑え素材本来の持ち味を最大限引き出すことを心がけています。そのために、毎日の原料のチェックは欠かせません。自然の恵みに感謝する気持ちで日々辛子明太子づくりに向き合っています。
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- From:料理家
- 落合葉子
- To:生産者
- 味の丸屋(株) 新井政尋さま
新井さん、いつもお世話になっております。
明太子は福岡県の名産なので、色んなメーカのお品を頂くことがありますが、御社の明太子は、一粒一粒がぷりぷりしていて、塩分、辛みのあんばいがほどよく、いつも美味しく頂いております。
御社のカタログを拝見していて、「無添加辛子明太子」というお品を発見し、とても興味をもちました。
というのも、以前、「魚卵加工品には、表示には書かれていない、たくさんの食品添加物が使用されていることが多い」という記事を読んで、とても驚いたからです。
その記事(2006年12月1日発行「暮らしの手帖25」)によると、タラコは、原材料の卵がいたみやすく、獲った魚によっては、卵が未成熟だったり、逆に成熟しすぎていたりと、状態が様々なので、これらを綺麗な製品にするために使用するのが、添加物(ショ糖脂肪酸エステル、ポリリン酸塩ナトリウム、赤色3号、ニコチン酸アミド、エリソルビン酸ナトリウム、ソルビット、乳酸カルシウム、塩化カリウム、グリチルリチン、5‘リボヌクレオチドナトリウム、大豆たんぱく酸分解物質・・・)だと。これらの食品添加物は、加工に使われながらも、表示されていない添加物の一部であると、記載されていました。
こんなに食品添加物を使用しなくてはならない状況を作ったのは、「カタチの整った製品」「見栄えが美しく見える製品」を求める、消費者の責任でもあるかと、個人的には思いますが、できることならば、なるべく添加物が加えられていない製品を求めたいと私は思っており、その中で、御社の「無添加辛子明太子」という商品に、出会いました。他社では、「無着色」の辛子明太子という製品はよく目にするのですが、「無添加」の辛子明太子というのは、目にしたことがありません。目にしたことがないというのは、おそらく、製品化が容易ではないからかと、察しています。
御社では、具体的に、いつごろから「無添加辛子明太子」の開発を始められたのか、どうして開発されようと思われたのか、商品化されるにあたってのご苦労、商品の特徴(御社の「無着色辛子明太子」との大きな違いは、何か)を、ぜひお教えください。よろしくお願いします。
- From:生産者
- 味の丸屋(株) 新井政尋
- To:料理家
- 落合葉子さま
落合様、こんにちは。御連絡ありがとうございます。
弊社は、1983年創業で、今年で創業30周年を迎えます。
創業当時からの基本姿勢は、「添加物を極力抑え、できるだけ自然で、しかもおいしい商品を作る」ということです。
弊社では、もともと「無着色辛子明太子」という商品を作っているのですが、その出発点が、「無添加に近い、無着色辛子明太子」でした。明太子を作るときに使われる旨味調味料には、色々な成分が含まれていて、中には表示しなくてもいい成分もあるので、弊社では、できるだけ自然の素材を使いたいと思っておりました。
また「明太子を作るのに、絶対に入れなくてはいけない」と言われていたモノも、「果たして、本当に必要なのか?」と疑問に思い、試行錯誤していくうちに、添加物が少しずつ少なくなり、「無添加」に近い、「無着色辛子明太子」となっていきました。実は、10年程前に、「無添加辛子明太子」を販売した事があるのですが、当時は「色が悪い」「見た目が悪い」との意見が多数で、意識が高いお客様には受け入れられたものの、売れ行きは悪く、そこからさらに試行錯誤を重ねました。
調味料屋さんから仕入れた、今まで「無添加」と思って使っていた調味料の中にも、若干、非表示の添加物の成分があることが分かったり、そもそも使っている水道水も、水道局が塩素で殺菌していたりと、私達の目に見えないところで、添加物が使われていることに気づきました。
自分達のところで、添加物を使っていないと思っていても、それ以前の段階で添加物を使っていたら、「無添加」と名乗るのは、難しいのでは?という問題に直面していきました。現在、弊社で販売している「無着色辛子明太子」と「無添加辛子明太子」の大きな違いは、「発色剤」「酸化防止剤」が含まれているか、いないかという点です。
「発色剤」とは、色を明るくするためのもので、これを使うことで、見た目が大きく変わりますが、使用基準が限定されています。
また「酸化防止剤」とは、商品の劣化を防ぐ働きを行います。弊社では、この「発色剤」を極力少なくして行こうと努力を重ね、現在「無着色辛子明太子」でも、ほとんど検知しない量まで抑えることに成功しています。(無添加辛子明太子には、発色剤、酸化防止剤は含みません)
そして、明太子を漬ける出汁には、北海道の真昆布、鹿児島枕崎の鰹節を使用し、水は、浄水器を通したものを使用しています。
また、弊社の明太子は「低塩」にも心がけています。一般的な辛子明太子の塩分は5.6%(五訂食品成分表より)ですが、弊社は2.1~2.5%程度におさめています。
塩を多く加える事で、日持ちをよくしたり、明太子が固くなり、粒が流れにくくなるというメリットがあるのですが、昔と流通事情や冷蔵庫の発達事情が大きく変わった現代では、塩分を控えた方が、健康のためにも低塩の方が良いです。低塩だけれども、塩の旨味、おいしさを感じてもらい、明太子の粒が、きちんと出るよう、そしてカタチが決まるようにするのは、かなりの努力を要しました。「良い商品ができた!」と思い、それが普通のやり方となっても、日々新しい疑問が生まれてきます。その疑問を解決しながら、見た目で分からないかもしれないけれど、日々弊社の辛子明太子は進化しています。これからも「できるだけ自然で、しかもおいしい」商品を、ご提供できたらと思います。
- From:料理家
- 落合葉子
- To:生産者
- 味の丸屋(株) 新井政尋さま
新井さん、貴重なお話をお聞かせくださり、ありがとうございます。
新井さんの、ものづくりに対する真摯なお姿に、感動しました。「無添加」と名乗ることができるまでに、こんなにもご苦労があったのですね。私達「消費者」は、生産者さんの表示を信じてしか、商品を選ぶことができません。
改めて、御社の製品は、心から安心して頂くことができるなぁ、と感じました。今回、無添加辛子明太子を使って、「ジャガイモのめんたい甘酢和え」を作ってみました。
ジャガイモを薄切りにして、さっと茹でたものに、無添加辛子明太子の、程よい塩分と辛味がマッチして、上品な和え衣となりました。
明太子は、そのまま白いご飯に添えて食べたりすることが多いかと思いますが、今回の和え物のように、調味料の一つとしても使うことができます。ぜひ、お試しくださいませ。
- 味の丸屋(株)
- http://www.aji.co.jp/
- ※この記事は、2013年3月の取材に基づいて構成したものです。
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