教えてください
- さいとうけいこさん(愛知県長久手市)
- ある出来事をきっかけに「食の大切さ」を伝えるべく、舞台から食の世界へ転身。主宰するおうちパン教室‘ひなたぼこ’では、見た目もかわいい創作パンとともに、少ない材料と簡単な工程でできる「おまけメニュー」のおやつを教えている。 2014年には手づくり食を通して『本当のおいしさ』を未来に伝えるための拠点を新しく構える予定。食養学や野菜づくりも学び、地域でとれた旬の野菜を身近に感じてもらえるメニューづくりにも力を注いでいる。 おうちパン教室'ひなたぼこ'主宰 ・製菓衛生師 ・フードコーディネーター・東邦ガスクッキングサポーター
お教えします!
- 高木昇攻さん(愛知県長久手市)
- 1941年生まれ。サラリーマンを定年退職した後、岐阜県中津川市で薪の生産、原木栽培シイタケの生産を始める。シイタケ栽培では現在8千本もの原木を使用し、年間収穫量は500kgを超える。住まいのある愛知県長久手市の農産物直売所「あぐりん村」に出荷、即日完売するほどの人気だ。同生産者会では会長を務め、生産者向け勉強会なども開催し市内生産者にとってなくてはならない存在でもある。 また、原木はすべて長久手市内の雑木林からクヌギやコナラを自ら間伐して使用しており、地域の緑の維持に役立てようとの思いもある。 田瀬高原別荘地管理会社代表。愛知県原木椎茸生産者の会会員。 *問合せ先* 090−1823−4279,nt-noritaka0463☆ezweb.ne.jp ☆を@マークに変更してお問い合わせください。 (お問合わせの際はフードソムリエを見た、と一言添えてください。)
- From:料理家
- さいとうけいこ
- To:生産者
- 高木昇攻さま
高木昇攻様
こんにちわ。
先日は菌打ちの様子を見学させていただき、ありがとうございました。1本のホダ木に何十個もの穴を開けて菌を入れる作業は、ひとつひとつが手作業で力も必要。さらにそのホダ木を、今度は岐阜県の栽培地まで運ばれるとのこと。原木栽培には気の遠くなるような手間と時間のかかるものなのだなぁと感じました。
おそらく他にも表に出ないご苦労がいっぱいおありのことと想像します。
原木栽培で一番苦労される点や菌床栽培との違いなどを是非お聞かせください。※ホダ木=菌を植え付けるために、一定の長さの切断した原木のこと。
- From:生産者
- 高木昇攻
- To:料理家
- さいとうけいこさま
さいとうけいこ様
今年のシイタケのホダ木づくりは600本くらいになりました。 私のように原木の伐採から菌打ち、管理まで全て1人で作業している生産者は少ないと思います。
今夏は歴史上最も暑くかつ雨も少ない年で、栽培地である標高400メートルの岐阜県中津川市の山中でも厳しい気象条件となりました。
原木栽培の中でも「温度と湿度をコントロールできるハウスでの栽培」なら多少は救われたでしょうが、私の方式は自然まかせの露地栽培なので「雨不足」が秋の収穫にどの程度影響するか心配です。
このあたりが一番苦労と感じるところでしょうか。菌床栽培というのはオガクズなどを基に固めた人工の培地を使う栽培方法で、作業が楽な上、短期間に安定的な生産ができるのが長所です。
比べて原木を使った露地栽培は力と手間がかかる上、天候に大きく左右されますし、収穫までに時間もかかります。が、その分、木の持つ栄養で育つ椎茸の味と香りは格別なものです。そしてハウス栽培にはない『旬の味』をお届けできるのです。原木椎茸は生椎茸もおいしいですが、干し椎茸は特別おいしいと思いますよ! 天日で干した椎茸はビタミンDがうんと増え、うま味成分が増すのです。
保存食としても優秀で、先人の知恵はすばらしいですね。
健康食品としても料理の食材としても、若いお母様方にもっと使って欲しいです。11月の上旬からは秋の収穫が始まります。
料理人さん、もうしばらくお待ち下さい。
そして素敵な料理を期待しています。*追伸*
①原木になるクヌギのドングリを約1,000個集めたので、近々山で種蒔き(?)します。15〜20年後にホダ木になるかな...。
②11月からは来春に使う菌打ち用のホダ木にする原木の伐採開始です。私にとって再生産の始まりです。
③11月に入ると毎週中津川の山へ行きます。
- From:料理家
- さいとうけいこ
- To:生産者
- 高木昇攻さま
お返事ありがとうございます。
春には生シイタケ、秋に入る頃には干しシイタケをありがとうございました。
菌床栽培とはまったく違うあの香りと味わいは、手間と愛情、そして森と時間が育むものなのですね。
原木栽培にも露地ものとハウスものがあるということも初めて知りました。さて、春にいただいた生シイタケは、そのまま焼いていただくのがまずは一番!の楽しみ方ですが、その他にも煮物、焼きびたし、フライ、いろいろなお料理で主役、脇役と広範囲で活躍させることができました。
そして先日いただいたがおすすめの「干しシイタケ」。こちらをおいしくいただくのに、私なりにたどりついたのは「おやき」という食べ方です。 日本全国にさまざまな形の「おやき」が存在しますが、「原木栽培シイタケ」の香りと旨みをギュッと閉じ込めるだけでなく、見た目も楽しく「ぐるぐる巻いたおやき」にしてみました。つくる工程も楽しいですよ〜。戻し汁も生地づくりに活用します。
収穫時期はさらに生シイタケをちょこんとのせて、贅沢に。
高木さまにおかれましては、力のいる大変な作業が続くことと思いますが、どうぞご自愛ください。そしてこれからもおいしいシイタケがみなさんに届けられますよう、期待しています!!※シイタケには春と秋の旬があります。
- ※この記事は、2013年10月の取材に基づいて構成したものです。
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