プロ料理家365名によるプロのレシピ4812

第57回 史上初のミシュラン二つ星を持つ日本人シェフ

現在、日本人シェフが大活躍するフランス。
日本人の味覚に対する繊細な感覚とフランス料理への理解、
そして重労働のシェフの仕事にも挫けない情熱が実を結び、
「パリでは日本人が働いていない有名レストランはない」と
言われるほど、その実力は評価されています。

2013年のミシュランガイドで星を獲得した日本人シェフのレストランは15店。
中でも日本人初、唯一の二つ星を持つレストランが今回ご紹介する
佐藤伸一氏がシェフを務める『パッサージュ53』です。

パリ最古のアーケード、庶民的なパッサージュ・デ・パノラマに
ミシュラン二つ星のレストランが誕生したのはまさに衝撃で、
この小さなレストランにパリ中のグルメの注目が集まりました。

ミシュラン三つ星を持つパリのレストラン「アストランス」や
スペインの「ムガリッツ」で修行した佐藤シェフが辿り着いたのは、
フランスの豊かな土壌が生む素材の強さ、味わいを最大限引き出す料理。

P1100891.JPG

佐藤シェフの代表作、「白い皿」と名付けられた一皿は、
タイトル通り、烏賊とカリフラワーとすべて白い素材のみで作られています。

牛乳とオリーブオイルを加えて乳化させた滑らかなカリフラワーのピュレ、
その上に柔らかく火が通されて、旨味が強調された烏賊のグリエ、
ごく薄くスライスされたカリフラワーは新鮮な食感と香りがあり、
ほのかな甘さが香るアーモンドオイルで和えてあります。

使用している素材自体はふたつだけですが、
二つの異なる味をむっちりした烏賊の強さと合わせることで、
加熱した滑らかなピュレと生のスライス、
全く異なるカリフラワーの味と食感、香りをより楽しめるのです。

ひとつの完成された味わいとしてこの素材が使われている理由が、
頂いてみると理解できる、佐藤シェフの哲学が生きた説得力のある一皿です。

STORE INFORMATION

PASSAGE 53

53 passage des Panoramas
75002 Paris

TEL: 33 + (0)1 42 33 04 35

http://www.passage53.com/

夜のコースはムニュ・デギュスタシオンは10品からなるコース、一種類のみ。
必ず予約をお薦めします。

小松喜美さん写真

フード・ジャーナリスト 小松喜美

イギリスをメインにヨーロッパの魅力を食と文化の視点から紹介するフード・ジャーナリスト。料理・菓子は「ル・コルドン・ブルー」やパリの「リッツ・エスコフィエ」で学んだ経験をもとに、「食べることは生きること」を信条として、日々おいしいものを探究する日々をブログや雑誌媒体のメディアに掲載しています。

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