プロ料理家365名によるプロのレシピ4812

第42回 スイーツでないケーキ フィッシュケーキとは

イギリスにはケーキと名前がついているのに、
スイーツでない食べ物が存在します。
今回ご紹介するフィッシュケーキ(fish cakes)もそのひとつ。

フィッシュ&チップスは代表的なイギリス料理として
日本でも有名になりましたが、フィッシュケーキは、
その紛らわしい名前のためか、知名度は高くありません。
ちなみに、「かまぼこ」の英語名はFish Cakes、
さつま揚げはFried Fish Cakesと、
この料理とは違う名前の英語訳があるのです。

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イギリスで最も有名な家庭料理と家事の本、
19世紀ヴィクトリア時代にミセス・ビートンによって書かれた
「ブック・オブ・ハウスホールド・マネージメント」にも登場する
古典的なイギリス料理ですが、日本人にはとても馴染みやすい味。
というのも、タラやスズキといった白身の魚とマッシュしたジャガイモを混ぜ、
円形にまとめたものに衣をつけて揚げた料理、
つまりイギリス版魚のコロッケだからです。

この料理が一般的になったヴィクトリア時代は
質素堅実を旨とする良き家庭人が理想とされていました。
ミセス・ビートンの料理書の中でもいかに美味しく残り物を調理するか、
その知恵から生まれた残り物を生かした料理です。
特に北部や海沿いの地方では重要なタンパク源として
魚は重要な位置を占めていました。
塩漬けのタラやスズキと、豊富に手にはいる
主食であるじゃがいもを使った少量で満足感のある一品として、
イギリス人に愛されてきました。

昔はフィッシュ&チップスの店で売られていたこの庶民の味も、
最近ではレストランなどでおしゃれなフィッシュ&チップスが登場したように、
モダンな解釈の新しいフィッシュケーキが
パブやレストランのメニューに登場しています。
写真はイギリスの現代美術を収集した美術館、
テート・モダンの最上階のレストランのフィッシュケーキ。
周囲にレストランが少ないこの地区で予約できるうえに、
なんといっても一番のごちそうはテムズ河を挟んで
セント・ポール大聖堂までを一望に見渡せる眺望の素晴らしさ。

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ロンドンを代表するモダンな空間でいただくフィッシュケーキは
現在の伝統の味をモダンにデザインしたロンドンを象徴する味わいです。

STORE INFORMATION

Restaurant & Cafe at Tate Modern
Bankside London SE1 9TG
TEL:+44 (0)20 7887 8888
http://www.tate.org.uk/visit/tate-modern/eat-drink-and-shop/level-6-restaurant

小松喜美さん写真

フード・ジャーナリスト 小松喜美

イギリスをメインにヨーロッパの魅力を食と文化の視点から紹介するフード・ジャーナリスト。料理・菓子は「ル・コルドン・ブルー」やパリの「リッツ・エスコフィエ」で学んだ経験をもとに、「食べることは生きること」を信条として、日々おいしいものを探究する日々をブログや雑誌媒体のメディアに掲載しています。

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