第67回 フードマーケットで見つける懐かしいイギリスの味 from London
ロンドンの週末の過ごし方として、訪れてみたい場所のひとつがフードマーケットです。ここ、モルトビーストリート・マーケットは地元でも話題のマーケットのひとつ。
地下鉄のロンドン・ブリッジ駅とバーモンジー駅の間、線路の高架沿いの狭い路地ロープウォークで、毎週土曜日の午前9時から午後4時、日曜日の午前11時から午後4時まで、週末だけ開催されています。どちらの駅から歩いても10分くらいの距離ですが、バーモンジー駅から歩いてこのマーケットでまずは腹ごしらえ、それからロンドン・ブリッジ駅にある最大のオーガニック・マーケット、バラ・マーケットで食材を買って帰るのがお薦めの回り方。
当初は土曜日だけの開催であったのが、余りの人気に日曜日も開催されるようになりました。このことからも、人気のほどが伺われます。
イギリスらしいフードの代表といえばスコッチエッグ。ボイルドエッグの周囲にひき肉のミンチをつけて揚げたものです。手軽なスナックとしてパブなどで出している定番メニューですが、意外に食べられる場所がないスナックのひとつかもしれません。
注文すると、こんな感じに二つに割って、塩をかけ、紙袋に包んでくれます。中にはスコットランド名物ハギス味のスコッチエッグもあり、フレーバーは様々。大人の握りこぶしより大きいくらいなので、ひとつでお腹いっぱいになるのでご注意ください(笑)。
ヴィクトリアスポンジケーキやヴェルヴェット・カップケーキ、サマーベリーを載せたメレンゲのケーキ「パヴァロワ」など、いかにも素朴なティールームで出てくるようなイギリスらしいケーキが並んでいます。
石焼き釜から出てくるフラットなピザ生地には季節のフレッシュな野菜とチーズ、ハムなどが溢れんばかりにのせられていました。熱々が食べられるのが人気のようです。
ドーナツとエクルズケーキが話題の「セント・ジョン」のベーカリールーム。
屋台のお店が多い中でこちらは高架下にお店を構えています。
ここではイギリス版チーズトースト、ウェルシュ・レアビットやベーコン・サンドウィッチ、通称「ベーコンバティ」などイギリスの懐かしの味のメニューが並びます。ロンドン名物ベーグルに挟んだソルトビーフが有名ですが、ベーコンバティはフライドポテトを挟んだ「チップバティ」と共に、これぞ庶民の懐かしの味。
「セント・ジョン」の豚の尻尾から頭までのトレードマークが語るように、ベーコンも厳選されています。ベーコン・サンドウィッチの余りの飾り気の無さ(!)に驚かれるかもしれませんが、注文するとその場で大きなローフからスライスしてくれるトーストは柔らかくてほんのり甘みがあり、「これぞイングリッシュ・ベーコン!」と言いたくなる肉の旨味と塩気のあるこんがり焼かれたベーコンとパンが好相性で、また食べたくなる素朴なおいしさがあります。
イギリスに来ると必ず飲むのがこのジンジャービア。生姜の効いたジンジャーエールですが、こちらのものはオーガニックということで、自然な甘みと生姜の爽やかさがノスタルジックな味わい。
他にもクラフトビール、ジン、コーヒー、蜂蜜、シャルキュトリー、グリークフード、タパス、ハンバーガーなど、どのお店も週末をリラックスした雰囲気でブランチを楽しむ、たくさんの「おいしい顔」で溢れていました。ロンドンの下町を代表する気取らない味わいと、アイデアや情熱に溢れた個人商店で経営されているお店が出店しているところが人気の秘密のようです。こうした食への情熱のある個人業者が消費者と直接繋がることのできる場所、ロンドンならではの誰でもが起業できる自由な空気がその美味しさを作り出しています。
STORE INFORMATION
MALTBY STREET MARKET
Maltby Street, London, SE1
TEL : +44(0) 20 7394 8061
http://www.maltby.st