プロ料理家365名によるプロのレシピ4812

第22回 おいしいロンドン お薦めミシュラン・レストラン アーバタス 

 過去の不名誉な「イギリス料理はまずい」という評判を覆すかのように、
近年「グッとおいしくなった」と言われる食のコスモポリタン ロンドン。
では「実際にお薦めのレストランは?」と訊かれた時に、最近のお気に入りが
ミシュランひとつ星を持つソーホーのレストラン「アーバタス」です。

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 質実剛健な英国料理らしい「豚の頭 Pig's Head」という名前のスターター。
実は私は臓物系の料理がどちらかというと苦手なのですが、
こんがりと焼き付けられた表面の香ばしさと、
テリーヌ風に仕立てられた中身の部位毎のやわらかい肉の部分、
こりこりとしたパーツの部分の食感の違いが面白く、
華麗さはないけれども、意外なおいしさと食べやすさを発見できる
英国料理らしさを堪能できる一品です。
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 「オーガニック・キャロット・スープ、へーゼルナッツ、ピンクグレープフルーツ添え」
世界でも特に厳しい基準で知られるソイル・アソシエーションがあるオーガニック大国イギリス。このキャロット・スープは彩りは鮮やかですが、優しい味わい。
これなら人参嫌いのお子さんも人参が好きになりそうです。
ヘーゼルナッツは食感、ピンクグレープフルーツは香りのアクセントになっています。
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 「バヴェット・ビーフ プロヴァンス野菜のグリル添え」
バヴェットは牛のサーロイン下の腹身肉で、安価な部分であることからビストロでは定番のメニュー。その分、どんな風に調理するかが技量が問われる訳ですが、こちらでは28日熟成のビーフを使用、赤身の肉の旨みを存分に味わうことができます。
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 忘れてならないデザートは「フローティング・アイランド カスタード&ピンク・プラリネ添え」イル・フロッタントとも呼ばれるこのイギリスの定番メニューのデザートは、文字通り、ふんわりとしたメレンゲがカスタードの海に浮かんでいる様子から名づけられたもの。
口の中で消えていくメレンゲの軽さと懐かしい味わいのカスタードソース、
カリカリした食感のピンク・プラリネがアクセントになっています。
お腹にズシッと来るヘビーなものが多いイングリッシュ・スイーツの中で、ふんわり、柔らかな口当たりのフローティング・アイランドはメニューの中に見つけると必ず頼んでしまうデザートのひとつです。
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 サービスはとてもフレンドリー、リラックスした雰囲気の中で、
現代風のひねりを加えた日本人にも食べやすい、
これぞモダンブリティッシュがいただけます。
ガストロ・パブほど重厚、がっつりしていない、
ミシュランひとつ星が納得できるおいしさ。
料理が気取りすぎていないのも、お気に入りの理由です。
ロンドンで一人できちんとしたご飯を食べるのはやや気後れがしてしまうものですが、
おひとり様にはちょっとおいしいものをいただくのに便利なカウンター席もあります。
人気店なので事前のご予約をお忘れなく。
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STORE INFORMATION

ARBUTUS
63-64 Frith Street London W1D 3JW
+44-(0)20-7734-4545
http://www.arbutusrestaurant.co.uk/

小松喜美さん写真

フード・ジャーナリスト 小松喜美

イギリスをメインにヨーロッパの魅力を食と文化の視点から紹介するフード・ジャーナリスト。料理・菓子は「ル・コルドン・ブルー」やパリの「リッツ・エスコフィエ」で学んだ経験をもとに、「食べることは生きること」を信条として、日々おいしいものを探究する日々をブログや雑誌媒体のメディアに掲載しています。

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