プロ料理家365名によるプロのレシピ4812

第34回 ロンドン ミュージアム・カフェの楽しみ2

前回に続き、ロンドンのミュージアム・カフェの楽しみをご紹介します。

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ロンドン一の眺望を誇るといわれるのは、ナショナル・ポートレート・ギャラリー
1856年に設立され、主にイギリスの歴史上の主要人物の肖像画を中心に
収集されています。歴代のロイヤルファミリー、政治家、文学者など約9000点、
古典からコンテンポラリーまで網羅した幅広い内容となっています。

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最上階に位置するレストラン&カフェは、ホテルほど格式張らずに
一度はベーシックなアフタヌーンティーを味わいたいという方にぜひおすすめです。
ちょっと贅沢な「ローラン・ペリエ」のロゼ・シャンパンがつくシャンパン・アフタヌーン・ティー、
13種類あるお茶はティーバッグでなくルーズリーフ・ティーを使用していて、
フレッシュミントを使ったハーブティーもあります。

ところで、なぜ主だったイギリスの国立のミュージアムは無料なのでしょうか。
これには理由があり、ヴィクトリア時代に多く創設された
ミュージアム設立当初からの変わらぬ理念が反映されているのです。
「ミュージアムは誰もが芸術を鑑賞できる場所であること。」
「貧富の差なく国民が共有することのできる教育の場であること。」
「次世代の芸術活動への啓蒙を促す場所であること。」
この理念は現代の英国政府の文化政策にまで受け継がれ、
一時は中断されたものの、現在でも入場料は無料という美術館が
圧倒的に多いのはそのためです。
入場料が無料のため、各ミュージアムでは有料の特別展を開催したり、
美術館のメンバーシップ制度を設けたり、
ミュージアム・グッズの販売や独自の商品開発、
そして併設のレストランやカフェに力を入れています。
こうした日常生活の中に芸術が存在している環境、
いつでも本物を知り、学び、触れることができる環境は羨ましい限りです。
鑑賞の合間にミュージアムのカフェで食事やお茶を楽しむこと、
それ自体がこうしたミュージアムのサポートに繋がるのは、
訪れる者にとっても、ミュージアムにとっても素敵な関係に違いありません。

STORE INFORMATION

National Portrait Gallery
St.Martin's Place, London,WC2H 0HE
+44-(0)20-7312-2490
www.npg.org.uk

小松喜美さん写真

フード・ジャーナリスト 小松喜美

イギリスをメインにヨーロッパの魅力を食と文化の視点から紹介するフード・ジャーナリスト。料理・菓子は「ル・コルドン・ブルー」やパリの「リッツ・エスコフィエ」で学んだ経験をもとに、「食べることは生きること」を信条として、日々おいしいものを探究する日々をブログや雑誌媒体のメディアに掲載しています。

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