プロ料理家348名によるプロのレシピ4637

第31回 1日に3回食べたい イギリスの朝ごはん

イギリスの食事はおいしくないという偏見は
残念ながら未だに根強いものがあるようです。
そんな不名誉な評判のあるイギリスの食事でも、
1日に3回食べたいほどおいしいと名高いのが
イングリッシュ・ブレックファストです。

これはもともと著名な英文学者のサマセット・モームの言葉
「To eat well in England, you should have breakfast three times a day.
イギリスで良い食事をしたいと思ったら、朝食を1日に3回食べるべきだ」
からの引用だと思われ、これには彼一流のイギリス人らしい
皮肉とユーモアがたっぷりと込められているように感じます。
モームの生きた時代には、現在のイギリスにおける食革命は望むべくもなく、
朝食以外はいただく場所によっておいしいところと、
不味いところの当たり外れが大きかったのかもしれません。
この言葉がここまで有名になったのは、イギリスの朝食を食べた人が
「(他の料理はともかく)イギリスの朝ごはんは確かにおいしい」と
誰もが納得し、認めているという背景があるのではないでしょうか。

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典型的なイングリッシュ・ブレックファストといえば、
卵料理+ベーコン、ハム、ソーセージ+付け合わせの組み合わせが一般的。
卵料理は写真のようなフライド・エッグ(目玉焼き)、ボイルド・エッグ、
スクランブルド・エッグ、ポーチド・エッグから、
付け合わせはグリルド・トマト、マッシュルーム、ベイクドビーンズ、
ブラックプディングなどから、お好みとお腹のすき具合に合わせて選びます。
保存食であるベーコン類に塩気がきいていることが多いので、
卵料理やグリルしたトマトやマッシュルームと
一緒にいただくと、塩気がちょうど良い感じでいただけます。
写真に写っているのは特に肉厚で、たっぷりした食感がおいしい
ポートベロー・マッシュルームです。

今回ご紹介するのはコッツウォルズにあるB&B、
Wesley Houseの朝ごはんです。
(ちなみにB&BというのはBed&Breakfastの略で、
 基本的には朝ごはんと宿泊がセットになった
 プチホテルのような形態の宿泊施設です。)
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コッツウォルズのしっとりした緑と光に囲まれながら、
朝食がいただけるコンサヴァトリー。

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フレッシュなオレンジジュースと共に、
まず最初にでてくるのがヨーグルト。
なめらかな舌触りでコクのあるグリーク・ヨーグルトに
ホームメイドのレッド・ベリー・ソースが添えてありました。

パンもこちらは最初に温かいクロワッサン、
次にブラウンかホワイトブレッドのトーストが出てくる充実ぶり。

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ベーコンとフライドエッグの典型的な朝食もいいのですが、
それ以外にもスコットランドの朝ごはんで紹介したグリルド・キッパー、
この写真にあるミルクでポーチしたハドック、ポーチド・エッグ添えなども
イギリスの伝統的な朝食メニューです。
ミルクがタラの生臭さを塩辛さを消してくれる
しっとりした食感のタラとポーチドエッグは、
ちょっとヘビーなベーコンにフライドエッグの朝食と比べると、
もう少しお腹にやさしく、特に肌寒い日の朝には体が温まる組み合わせです。

厭世的な人生観を抱いていたモームですが、
おいしい朝食をいただく時だけは
人生に肯定的になれたのかもしれません。

朝ごはんは旅行の大きなお楽しみのひとつ。
一日のスタートである朝ごはんがおいしいと
その日1日が良い日になる気がするのです。

STORE INFORMATION

WESLEY HOUSE
High Street , Winchcombe,
Gloucetershire, GL54 5LG
44-(0)1242-602-336

小松喜美さん写真

フード・ジャーナリスト 小松喜美

イギリスをメインにヨーロッパの魅力を食と文化の視点から紹介するフード・ジャーナリスト。料理・菓子は「ル・コルドン・ブルー」やパリの「リッツ・エスコフィエ」で学んだ経験をもとに、「食べることは生きること」を信条として、日々おいしいものを探究する日々をブログや雑誌媒体のメディアに掲載しています。

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