プロ料理家365名によるプロのレシピ4812

第九回 「オーガニック最大にして最古のバラ・マーケット ロンドン」 

ほんの数年前までは食べることや健康に対してどちらかといえば
関心の無かったロンドンの人たち。その反動かのように、
今ロンドンではあちらこちらでオーガニックやエコという文字を目にします。
肥満大国第二位(一位はもちろん?アメリカ)の汚名が余程ショックだったのか、
TVやニュースでも頻繁にジャンク・フードの害が報道されたり、
地球温暖化やエコロジーに対して真剣な取り組みがなされるようになって、
オーガニックも一過性のブームを超えて、人間としての根幹を成す「食べる」ということに真剣に取り組むようになった変化がうかがえます。

スーパーマーケットで簡単にオーガニック食品が手に入るロンドンでも、なんと最初のマーケット(食料品市場)としての記録が1276年というロンドン最古の歴史を誇り、なおかつオーガニックでは最大規模といわれるバラ・マーケット。以前は金曜日・土曜日の二日間でしたが、最近の地元客と観光客の増加による混雑緩和のために、現在では木曜日・金曜日・土曜日の週3日間開かれています。比較的買い物をゆっくり楽しみたいなら、木曜日に行かれることをお薦めします。

Bourough2

地下鉄ロンドン・ブリッジを出てすぐのところにあるのも便利で、いつ訪れても
大勢の地元の人と観光客で溢れています。
活気があるのもここが一番ではないでしょうか。
ここではマーケットの人たちも、お客さんも歩きながらもぐもぐ食べています。
周囲に溢れる美味しい匂いには抵抗し難いものがありますね(笑)。

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野菜から肉、パン、魚、オリーブオイル、チーズ、ハム、香辛料、ワイン、
全ての食料品がここで揃います。たくさんのストール(屋台)があり、
一口にオーガニックといっても、それぞれお店によって扱う自慢の商品が異なるので、何を買おうか目移りしてしまいます。

Bourough4

当然ながらイギリスの地元の農家のものが多いのですが、こちらSillfield Farmは、特に猪と豚肉が専門。保存料や添加物を加えない伝統的なカンバーランド・ソーセージは、滋味あふれる肉の力強い風味が特徴です。

Borough5

パン屋さんもたくさんあります。ここThe Flour Stationでは天然酵母によるマルチ・グレインのル・ヴァンを買いました。

chocolat.jpg

他にもブラウニーやシードルなど気になるものがたくさんあったのですが、
特にお薦めはこちら。チョコホリックには欠かせない、チョコレートのストール。
こちらDark Sugarsはハンドメイドのチョコレート・トリュフのお店。
10数種類あるトリュフの中から、一粒からの量り売りで、
自分の好きなものを選んで買うことができます。お気に入りは、
ここならではのドライ・アップル・サイダー&シナモン。

お値段はオーガニックということもあり、リーズナブルさはありませんが、
見知らぬレストランで思ったものとは違う料理に高いお金を払うリスクや、
入りやすいからという理由だけで入ったチェーン・レストランの画一的な料理を
食べることを考えると、オーガニックの厳選された材料から作られた、
目の前で焼いてくれるジューシーなハンバーガーや、
フレッシュなスムージー、しっとりした本物のブラウニーの方が
何倍も美味しくて、贅沢なご飯といえるのかもしれません。
お店の人たちは観光客にも慣れていて、皆フレンドリー。
バラ・マーケットがこんなにも人気がある理由。それはここに集う人々の、美味しいものを味わう、ワクワクした顔を見るとわかります。ロンドンを訪れたなら、オーガニック先進国の美味を発見しに、一度はバラ・マーケットへ足を運んでみることをお薦めします。

STORE INFORMATION

Borough Market

8 Southwark St
London, SE1, United Kingdom
+44 20 7407 1002
www.boroughmarket.org.uk

小松喜美さん写真

フード・ジャーナリスト 小松喜美

イギリスをメインにヨーロッパの魅力を食と文化の視点から紹介するフード・ジャーナリスト。料理・菓子は「ル・コルドン・ブルー」やパリの「リッツ・エスコフィエ」で学んだ経験をもとに、「食べることは生きること」を信条として、日々おいしいものを探究する日々をブログや雑誌媒体のメディアに掲載しています。

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