プロ料理家365名によるプロのレシピ4812

第五回 「ロンドンのガストロ・パブ、ザ・ナロウで味わうモダン・ブリティッシュ」

イギリス料理といえば、昔は「まずい、重い、古臭い」の
三重苦のイメージを背負っていたと思うのですが、
いわゆるモダンブリティッシュが登場してから、
ロンドンはパリや東京と並ぶ食の都に変身を遂げつつあります。

モダンブリティッシュというのは、昔ながらのクラシックな
イギリス料理のメニューを現代風に食べやすくアレンジしたもの。
気取りの無いカジュアルな雰囲気で、ゆったりとリラックスして
美味しいものをいただきたい思うのは万国共通のようで、
そんなロンドナーの気持ちを代弁してか、ロンドンでは
いわゆるガストロ・パブが人気があります。

「ガストロノミー(Gastoronomie)フランス語の美食」から来たいわゆる造語なのですが、美味しいものが食べられるパブ、ただアルコールを飲むだけの場所でなく、食事も楽しめる美食パブの意味で使われているようです。

カナリー・ワーフから歩いて行ける距離のガストロ・パブ、「ザ・ナロウ」もその一つ。良くも悪くも恐らくイギリスで一番有名なミシュラン・スターシェフ、ゴードン・ラムゼイ経営のガストロ・パブです。

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テムズ川を望む絶好のロケーション。この周囲は自家所有のボートやヨットを
楽しむ人々が多く、どこかリラックスしたリゾートのような感もあります。

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本日のお薦め。ロースト・チキン。ズッキーニのグリルやポテトが味に彩りを添えています。
皮はぱりっとしてジューシー、中身はしっとりと柔らかい。当たり前のものが当たり前にとても美味しい、それは普通のようでいて、なかなか難しいことです。

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サイド・オーダーのトマト&キューカンバー・サラダ。
このサラダの盛り付け方はパブとは思えません(笑)。

お薦めのオーガニックのエールやサイダーも充実しています。私はサフォークのサイダーをいただきました。ブラムリー・アップルやキングストン・ブラックなど数種をブレンドして作られたサイダーは、ドライで柔らかなりんごの香りと発泡性。イギリスに来たら必ずいただくものの一つです。ただアルコールは意外に高いので(ビールやエールと同じくらい)、アルコールに弱い方はご注意ください。

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夏の明るい陽射しを思わせる、サマー・デザート。
エルダーフラワー・ジェリー、ブルーベリー、ラズベリー、ストロベリーとヴァニラ・アイスクリーム添え。ふるふると口の中で溶けていく食感が絶妙で、冷たい滑らかなアイスクリームとフレッシュなベリー、エルダーフラワーの仄かな香りが残ります。

陽光にきらきらと輝くテムズ川や行きかうボートを眺めながらの、
ゆったりと過ぎていくイングリッシュ・サマーを楽しむランチ。
お店の方もとてもフレンドリーで心楽しい接客が印象に残りました。

ロンドンに来たらリラックスした雰囲気で味わうモダンブリティッシュ、
ガストロ・パブに足を運ばれることを是非お薦めします。

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STORE INFORMATION

THE NARROW

44 Narrow St
London, E14 8DP, United Kingdom
+44 20 75927950
www.gordonramsay.com/thenarrow/

小松喜美さん写真

フード・ジャーナリスト 小松喜美

イギリスをメインにヨーロッパの魅力を食と文化の視点から紹介するフード・ジャーナリスト。料理・菓子は「ル・コルドン・ブルー」やパリの「リッツ・エスコフィエ」で学んだ経験をもとに、「食べることは生きること」を信条として、日々おいしいものを探究する日々をブログや雑誌媒体のメディアに掲載しています。

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