フードソムリエ

フードソムリエをご覧の皆様、こんにちわ。
パートナーをさせていただいております、高橋裕子（たかはしひろこ）と申します。

この度「欧米まんぷく紀行」と題しまして、コラムを書かせていただくことになりました。
今年の3月・4月と、60日間イギリス・フランス・スペイン・アメリカはニューヨークを訪れる機会に恵まれました。その間に「食」を通じて感じたこと、考えたことを皆様にお伝え出来ればと思います。

本編を始める前に少し自己紹介をさせていただければと存じます。

私は1971年9月に、赤坂で料理屋を営む家の末っ子長女として生まれ、調理場で忙しく働く父、接客を仕切る母の姿を見て育ちました。

子供のころの大好物は、まぐろを下ろした後の骨からとった中落ちにアサツキとワサビをたっぷりまぜたものを載せた丼、揚げたてのエビ天、くわいを面取りした”くず”部分を揚げて作ったクワイのチップス♪。そして、だしを取るために毎日大量に削られる鰹節の最後のカケラをしゃぶることが最高の楽しみでした。

大学生の頃までの私は野菜をほとんど食べない大変な偏食。そんな私に「何でも食べられる幸せ」をもたらしてくれたのが現在の夫でした。

和食の世界に育った私を、当時まだ珍しかった”ビストロ”に連れて行ってくれたり、数十種類のスパイスを使った本格的なインドカレーを一緒に作ろう！と誘ってくれたり。そうしていくうちに「野菜が嫌いなのではなくて、調理法が合わなかっただけなんだ！」と気が付きました。

甘いかぼちゃの煮物は苦手でも、スープは美味しい。甘辛く煮た椎茸は嫌いでもさっとあぶった椎茸に香ばしい醤油の香りは大好き。こうしてあっという間に私は苦手なものを克服してしまいました。

そして、夫の転勤で住んだ、オーストラリア、イギリス、中国での生活。見たこともない食材、各地の食の知恵、人々の食への情熱。それらに触れるうちに”生きること”と”食べること”を考えさせられました。

母ががんで亡くなったことをきっかけに栄養療法を学び、自分自身とても厳格な食事療法も経験しました。しかし、食事を管理するだけでは幸せに、健康になれませんでした。体の手入れ、心の手入れ、そして自然とともにあること、感謝をもって生きること・・・毎日学びを重ねています。

3年前からはじめたクッキングサークル、点心教室、そして中国茶のクラス。食を通じて自分を大切に生きること、今という時を大事に過ごすこと、を多くの人と分かちあえたら、そして幸せな時間を共有できたらという思いで開催しています。

今回の”欧米まんぷく紀行”では、そんな私が60日間、様々な場所で目にし、味わったたくさんの料理をご紹介します。みなさんもご一緒に旅気分を味わっていただけたらと思います。

すごく偏食だった私が、なんでも食べられるようになって本当によかったと思うのは、世界各地、どこに行っても地元の料理を喜んで頂くことが出来ること。食べ物を受け入れると、決まってその地の人たちは素敵な笑顔を見せてくれて、とっても喜んでくださいます。様々な食文化を受け入れることは、私の世界を大きく広げてくれました。

私の探究心を大いに刺激してくれた各地のすばらしい”食”に感謝をしつつ、”欧米まんぷく紀行”を綴りたいと思います。