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2013年10月 アーカイブ

2013年10月 5日

リンゴと木村さんの教え、そして気付き

奇跡のリンゴで著名な、木村秋則自然塾が、折笠農場で開催されました。
折笠さんは10年来、木村秋則さんの教えを実践されている農家さんです。
毎年品種選抜(無肥料無農薬で育ち、美味しくて収量が確保できる品種探し)を重ね、ジャガイモ、大豆などを中心に30haほどの畑を無肥料無農薬で実践されています。

kimura_masurao.JPG

私は、この折笠健(おりかさますらお)さんが大好きで、心から尊敬しています。

そんな折笠さんから「明日木村さんがくるよ~~ん」というお誘いを受け、
行ってまいりました、木村塾!

実は、木村さんとは何回かお目にかかっており、
言葉を交わしたことがあるものの、ちゃんとお話を伺うのは初めて。
しかも今回は圃場で話をきけるという、素晴らしいチャンス。


まずは、帯広畜産大学の谷先生から。

kimura_tani.JPG

折笠農場の土壌分析の結果説明がなされ、
慣行栽培、自然栽培2年目、6年目、10年目の畑の土壌成分の違いや、
土地による差異などを数字で見せてくださいました。
(なんと、この大切な資料をなくしてしまった、ダメな私w)


そして、木村さん登場♪

kimura_kimura.JPG


木村さんは折笠さんの畑で、たくさんのキーワードを話されましたが、
実のところ、私は農家ではありませんので、
実際に学びが多かったのは「考え方」の点です。

「自然のサイクル」で考えよという木村さんの教えでは、

例えば畑には見えない水があるという話や、
リンゴは葉脈に沿って剪定せよとか、下草の意味とか...。
この辺の話はもっと詳しくいろんな方が書いていらっしゃるので割愛して...。


何より私にとって今日一番大切だった気づきは、
リンゴの食べ比べとそのアンケート結果にありました。

IMG_8594.JPG

木村さんのリンゴをはじめ、
一番弟子の林克彦くんのリンゴ、
折笠さんのリンゴ、
そしてスーパーで買ってきたリンゴ。

品種はどれも「つがる」です。

それぞれ食べ比べしてみて、私には私なりの感想がありました。
しかし、回収されたアンケートを全て読んでみてわかったことがあります。


まず、スーパーで売られていたリンゴについては、
食べ比べることでみなさん一様に「違和感」を覚えたようです。
具体的には、味がボケていて、ハリがなく、瑞々しさが失われ...
まぁヒトコトで言えば美味しくないと。


また、当然のことながら、
木村さんはリンゴづくりのプロですから、
他の2つの自然栽培のモノより頭一つぬきんでた味で、
それに対しての評価は当然高いものでした。


しかし、全体的に3つの自然栽培リンゴについては、
好き嫌いはあるものの、同じ作り手のリンゴに対して、
あるものは甘い、あるものは甘くないと...非常に矛盾した回答が多いのです。

私はこの時、当たり前のことに気づきました。
これは、「個体差」であると。

そしてわかったことは、
ある程度のレベルを超えたら、後は個体差や個人の好みである。
だから、それを比較して論じることにあまり意味がないと。

面白いモノですね、
比較検討してみて改めてこのことがわかったのです。

普段、私たちは味覚教育で、こんなことを教えています。

味とは五味とその組み合わせを指し、
そこに香りが入って風味
さらに、五感(音や食感、温度や見た目等)や
TPO、ストーリーや背景が入って「美味しさ」となります。

つまり私たちは五味を追及しているのではなく、
「美味しさ」を求めているのです。

味をきちんと味分けることは非常に重要ですが、
そこに絶対価値を見つけるのは機械の仕事です。

どうやって作られたのかという背景や、
どんな思いで作っているのかというストーリー。
それらをまるごと食べているのですから、個体差を論じることに意味はないのです。

私たちの味覚教育もまさに、このことを最重視しています。

さて、木村さんがおっしゃった印象的な言葉を2つ。

「常識とは、18歳までに身に付けた偏見のコレクションである。
Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen.」

これはアインシュタインの言葉で、
常識を超えていけという意味だと教えてくれました。

そしてもう1つ

「ニュートン、ビートルズ、アップル...
 時代の変革時には、いつもリンゴがある。
 日本の無肥料無農薬栽培は、ヨーロッパのオーガニックより進んでいる」

そういって、ドイツに旅立たれていきました。

面白いなぁ、木村さん、すっかりファンになっちゃったじゃないですか!

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プロフィール


北村 貴(taka)
フードソムリエ代表


20年間の東京生活を経て、
2004年12月、真冬に
故郷・北海道十勝へ戻る。
よく食べ、よく遊び、よくしゃべる。
特技は四葉のクローバー探し

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