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2007年9月 アーカイブ

2007年9月 2日

伊勢丹考~求む!コンシェルジュ

一昨日から、久々に東京に来ています。

昨日は、少し時間があったので、
大好きな新宿伊勢丹へ♪

前回来た時には、まだ地下の食品売り場が完成していなかったので
全貌をしることができませんでしたが、
今回は1時間かけてたっぷりチェック。

もう、うれしくなって興奮し、アドレナリン出まくりです(笑)

まず何より気になったのは
タパス系のテイクアウト総菜が増えていて、

ホームパーティの日常化と、
夜、シャンパン飲みながら軽くつまむ・・・系のニーズの高まりを感じます。
(ちなみにフードソムリエでも「ホームパーティ」は人気コンテンツなんです)


また、「素材」系の品ぞろえも増えていて
きちんと家で作りたい人のニーズも間違いなく高まっていると思いました。

野菜もチェック♪
スイスチャードやピュアホワイトなどの新顔はもう普通に売られていましたが、
残念ながら価格の割に鮮度が悪い。
伊勢丹でこれなら・・・と思わざるを得ない感じで、
野菜は通販が良いなぁ・・・としみじみ思う私です。

(実は、前回来た時に、東急の地下の野菜にガッカリしたのでした)

スイーツや惣菜の品ぞろえにたいして、
飲み物の提案が弱いことも残念な感じ。

ワイン、シャンパンはそろっていますが、
紅茶やコーヒーは種類が少ないなぁと思いました。

何よりがっかりしたのは「フードアテンダント」


私は、出張で来ているので「旅先で飲めるおいしいドリップコーヒーを探している」と
言ったのですが、コンシェルジュが私に見せたのが「ギフトカタログ」で、
何をするのかと思ったら「モンカフェ」を指して「セットものしかありません」と・・・。

私が伊勢丹に求めるものは「アテンダント」ではなく「コンシェルジュ」。

「意志のある提案」であり、、「有能なお客様の秘書」的役割です。

実は、アテンダントに聞く前に
売り場で2パック入りの有機栽培のドリップカフェを発見していたのですね。
でも他にもないかしら?と思って聞いているわけです。

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私が買ったドリップカフェ

あの膨大な食品を覚えるのは大変だろうと思いますが、

伊勢丹という百貨店の特徴柄、
また、あの食品売り場の研ぎ澄まし方から、
どうしても求めるハードルが高くなってしまうのです。

必要なのは、食のプロフェッショナリティであり、
什器の美しさやプレゼンテーションはその補足要素です。


アテンダントさん、できればコンシェルジュになってください、お願いします。

2007年9月 3日

食のプロSTORY
VOL.1<前編>チーズ職人・白糠酪恵舎 井ノ口和良氏

「僕のチーズは深化する」

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「深く化ける」と書いて「シンカ」すると読むんだ。

1つの事を深めることこそが職人の仕事であると井ノ口氏は語ります。

北海道の東、釧路市にほど近い町・白糠(しらぬか)町。
酪農、漁業、林業を主産業とする人口1万人の町。

山と川に挟まれた敷地に建つチーズ工房・酪恵舎では、

毎日400リッター程の乳から、
モッツァレッラ、リコッタなどのフレッシュチーズや、
料理に愛用されるマスカルポーネ、ロビオーラ、
そしてハードタイプのモンヴィーゾなど・・・。
北海道では珍しいイタリアタイプのチーズが作られています。

どうしてイタリアタイプを?とたずねると

「料理に使われるのは圧倒的にイタリアのチーズ。
 イタリアと日本は、それぞれ素材の持ち味を生かした食・料理文化であり、
 共通する点も多い。
 生活を豊かにする食としてのチーズを作りたかった。」

中でも工房の顔となっているのが、モッツァレッラ。

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「白糠町でチーズを作ることを考えたとき、
地元の人々と色々なタイプのチーズの試食をした。
その中で誰もが抵抗なく食べられるのがモッツァレッラだった。

僕が目指すのはイタリアのチーズではなく、
この土地に根ざしたチーズだから。

これなら豆腐感覚で買いに来て、年配の方はわさび醤油で楽しめる

なるほど、確かにイタリアではバケツに入って、
昔のお豆腐屋さんのようにモッツァレッラが売られている。

ジューシーで弾力があり、かみ締めると柔らかい乳の香りが口に広がる・・。
毎日フレッシュな出来立てを楽しめる
白糠町の人たちは、なんて贅沢なんだ、羨ましい・・・。

「基礎ができていないのに、
応用をやろうとする人が多すぎる

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初めて平凡社の「チーズ工房」という本を片手に
モッツァレッラを試作したのは、今から10年以上前のこと。

「自分の作るチーズの良し悪しすらわからなかった」と当時を振り返ります。

とにかくいろんなチーズを片っ端から食べた後に、
やっぱり我流じゃダメだとイタリアへ。


「基礎ができていないのに応用をやろうとする人が多すぎるんだよ」そう語り始めると柔和な表情が一変し、眼光鋭く、厳しい口調になります。


イタリアには2度渡り、学んだ基礎をきっちりと踏んで、
教えてもらった通りにできるまでに数年。
更にトレーニングを重ねて、ようやく販売ができるようになるまでにまた数年。

今では、販売先やコンテストでも高く評価され、
雑誌、TVなど多数のメディアからも注目されるようになりました。

「プロだからさぁ、出しても恥ずかしくないチーズはできているよ。
でもさ、まだ味に幅がある。
僕は許容範囲じゃなくてピンポイントを目指してるんだな。

この味で美味しいからいいや、じゃなくてさ、
もっともっと先を突き詰めたいんだよ」

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今もまだまだ深化し続けるチーズのストーリー、後編でお伝えします。

2007年9月 4日

東京出張の定宿♪~銀座ワシントンホテル

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8月31日~9月3日まで、東京に出張に行ってました。

ここ数回、連続して泊まっているのが銀座ワシントンホテル


銀座のメインストリートからほど近く、
羽田空港へは新橋の駅から都営線をうまく利用すると40分で着く。

しかも銀座ってアクセスがめちゃよくって、
銀座線、日比谷線、丸の内線、JRが使えるので
おおよそ都心のエリアなら、どこでも30分以内で行けちゃうので
打ち合わせにも本当に便利。


また、できたばかりできれいなこと、
シングルでもベッドがダブルサイズ、
インターネット接続のためのモジュラーが各部屋に完備されている
そして何より(比較的)低価格であること。

更に約10泊すると、1万円のキャッシュバックがあるところも♪

疲れて帰ってきても、ベッドが広くて清潔だと
とっても気持ち良いものよねぇ。

ズボンプレッサーなども完備されているので本当に便利ですよ。

2007年9月 7日

手の中のジャガイモ小宇宙♪

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みなさま、台風の影響はいかがでしょうか?

東北・北海道はこれから収穫の時期を迎えておりますため
少々不安が残ります。

さて、今日は大好きなジャガイモのお話を♪

手のひらにチョコンと載せている3種類。
インカのめざめ、レッドムーン、キタアカリ

キレイでしょう!!!


さて、みなさん、
どれがどれだか、わかりますか??


左奥がキタアカリ、男爵系の品種です。
肌質が白っぽく、粉質体で煮るとホロリと煮くずれます。
これは、粉吹きイモや、肉じゃがなどに最適の品種

右奥がレッドムーン、メークイン系の品種。
中味が少し黄色っぽく、甘くてきめ細かくネッチリした肉質。
煮くずれしにくく、舌触りがなめらかなのが特徴です。

オリーブオイルであえて、ローズマリー乗せてオーブンで焼いて食べるのが
お気に入り♪

休眠期間(芽が出ない時期)が短いため、
保存は冷蔵庫で♪
冷蔵庫に入れておくと、糖化が進みやすい品種なので、
2週間くらい置くと味に変化が出始めます。

手前の小粒がインカのめざめ。
真黄色の表面で、みっちり内容が詰まって固めの品種。
アンデス地方で獲れる高級な原種ジャガイモに近く、
味が濃厚で、食感は口に含むとホロリとくずれる。
甘味と土の香りが強い品種です。

味噌汁に入れて食べるのが好きっ(笑)
甘味が強いので、スイーツにもOK

これも冷蔵庫での保存が必須。
何せ、畑に行くと、土の中でも芽が出ています。
うーん、生命力が強いのね~といつも思うのです。

どのジャガイモも、
こだわりの生産者さんが手間を惜しまずに作ってくれたものです。


↓尊敬する生産者小島さんkojima.jpg

以前、東京に住んでいたとき、
スーパーに並んでいる「北海道産ジャガイモ」を購入していたのですが、
これがね、全く味が違うんですよね。
・・・というか、ほとんど味がしません(うぅ、ごめんなさい)


ジャガイモって作る人、選別する人によって
ものすごく味が変わってくるものなんだ・・・としみじみ思います。

スーパーで買うものとはひと味もふた味も違う、
北海道のこだわりジャガイモ、

みなさんにも食べてもらいたいべさっ♪(笑)


2007年9月12日

牡蠣とジャガイモのグラタンドフィノア

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もう何度も登場しておりますが(笑)
北海道はジャガイモシーズン真っ盛りでございますぅ。

そして、いよいよ牡蠣もオンシーズンに入ってきました。


今年も厚岸産牡蠣はぷっくりしていてジューシー。
今週からグッと涼しくなってきているので、月末くらいには
味も随分とのってくるのでは???

私どもが運営している「北のフードソムリエ」では、
年に4回、「さちのわ」という壁新聞のようなペーパーを発行しています。

これは、「お客様と生産者さん、私どもをつなぐ」ものなのですが、
そこで、毎回私はレシピの担当なんですね・・・。

足りない頭をううぅううう~~んとしぼり、
何度も練習して作るレシピ。

今回は「牡蠣とジャガイモのグラタンドフィノア」。

最初は、普通にジャガイモのドフィノアを作って、
その上に牡蠣を乗せ、オーブンで焼いたのですが、う~ん、生臭い(笑)
最後にジャガイモ+クリームの中に牡蠣をいれ、
軽く加熱し、その後オーブンで焼くことで解決♪

また、チーズは当初、3ケ月程度の熟成モノを使っていたのですが、
牡蠣の濃厚さとあわせるにはやっぱりパルミジャーノがイイわ。

焼き時間をあと1分伸ばしてとか、生クリームの量を減らして~とか・・・。

試行錯誤でようやく、なんとか・・・。

とはいえ、私の場合は、素人レシピなので、
まぁ、こんなもんかな?って感じでしょうが、


プロ・料理家のみなさんがレシピを生み出すには
私なんかには想像も出来ない、
並々ならぬご苦労があるんだなぁ・・・としみじみ実感をいたしました。

そして、同時に深く感謝、感謝、また感謝・・・。

ということで、今日も「きちんとレシピ」を見て、
美味しい夕飯つくります~。


2007年9月19日

田舎+特別食材=一期一会

先日、スーパーにいったら、
綺麗な生のワタリガニがありました。

キャーーーー、ワタリガニーーーーーー、パスタにしたい~~~~~~!!

即座に買おうとしたら、
今、北海道に来ているかおりちゃんが正しい一言を。


「たかさん、今日は芽キャベツのスープと鮭の焼き漬けがあります」


あぁ、そうでした、そうでした。

むむむ・・・と、
「まぁ明日もあるだろう」と思った私が甘かった。

翌日、かおりちゃん

「たかさん、スーパーに見に行ってきますよ、今日こそワタリガニのパスタね」と言って

いそいそとスーパーに。

そして、レジ袋を持って帰ってきたものの

「ありませんでした・・・」


あぁ、やっぱり。
ここは帯広。

ほしいものはその場で手に入れないとダメなんだった!


東京なら、必ず「翌日」があるけれど、
田舎における変わった食材は「一期一会」なのだ。


あぁ、食べたかったなぁ・・・ワタリガニ。

食のプロSTORY
VOL.1-2<後編>チーズ職人・白糠酪恵舎 井ノ口和良氏

前編では、チーズ職人としての目指すべき方向性を
「深化(しんか)」と語ってくれた井ノ口氏、

では、井ノ口氏の考える深化とは一体何でしょうか?


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それは一言でいえば「究極のバランス」であると井ノ口氏は語ります。

チーズは、
温度、タイミング、塩加減ひとつで変わる微妙なミクロの世界。

カーリョ(凝固のための酵素)を入れるタイミングひとつ、
乳酸菌の温度管理ひとつ、
PH(ぺーハー)の管理ひとつ、
カードカットひとつ・・・。

そして、モッツァレッラの命でもある
フィラトゥーラ(縦に繊維を作っていく作業)に、
サッセッタ(モッツァレッラが使っている水)の加減。

こんなに複雑な行程を経て、
緻密に計算されてチーズが作られているのかと驚いてしまいます。


カード

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上記にお湯を入れてフィラトゥーラする

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モッツァレッラが出来上がっていく

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■安易な商品は、あきられる、目先を変えてもだめだ


深化するチーズと聞くと、

新タイプのチーズへのチャレンジや、
スモークをかけたり、ハーブを混ぜたり、地元の農産物を入れたりなど
目先を変えることを考えがち。


しかし、井ノ口氏が求める深化は、

チーズそのもののポテンシャリティをあげること」であり、
技術水準をあげていくこと」にあります。


また、私たちはややもすると、いつでも同じチーズが食べられるのが当たり前と思ってしまいます。

しかし、気温や湿度の変化、
牛の状況なども相まって、原料となる乳の状態は、常に一定ではありません。

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その不安定な状態の中、
細い針の穴に糸を通すように、
井ノ口氏は、自分のチーズを研ぎ澄ますことに余念がありません。

それは、職人としての誇りであり、
チーズを買ってくれるお客様への感謝の気持ちの表れではなのです。

■この土地のチーズへ

チーズ深化は、
井ノ口氏が職人として、また自己の思いだけで
進めているわけではありません。

酪恵舎では、イベントやモニタリングなども積極的に行われており、
常に地元消費者との接点を持ち続けています。


先日、2年間にわたり、実行委員長を務めた「釧路・愛食フェア」の
2007年のフィナーレを飾る「愛食テーブルIN 釧路」が開催されました。

ここでは、地元生産者の食材を、地元のシェフが料理し、
生産者が自らサービスをするという従来にはない新しい試みが行われました。

menu.gif


ランチ4回、ディナー2回で、
合計150名を超える消費者が食事を楽しみながら生産者との交流を深めました。

もちろん♪井ノ口氏も料理をサーブしながら

「いかがですか?」
「この料理の組み合わせはどう思いますか?」

と、料理と一緒に素材への愛情も運びつつ、
ユーザーニーズの汲み取りにも余念がありません。


■酪恵舎のロビオーラを使ったアイスクリーム

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こういった日々の積み重ねの中、

チーズ職人・井ノ口和良氏と、
白糠酪恵舎が作るチーズは、

いよいよこの土地の風土、ユーザーニーズにあった

「白糠町のチーズ」になろうと根付き始めているのです。

今後ますます活躍が期待される酪恵舎のチーズ、
あなたもご一緒に深化を見守ってください。

2007年9月27日

ラブラブ★ニンジン

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先週末、南富良野にある、岩永農場さんに行ってきました♪

今年は、岩永さんの作る「粉吹き高原メークイン」と一緒に
ベータカロチンが数十倍といわれている「ベータリッチ」というニンジンを
販売させていたくこととなったのです(ヤッター!)

畑は除草剤は使わず、化学肥料なども必要最低限だから、
健康そのもの。

草がたくさん生い茂っていて、「はずかしい~」と岩永さんは言うけれど、

私たちはその姿を見て「いつもありがとうございます」と、
常々大地の恵を分けていただくことに感謝しているわけです。


そして、畑でこんなニンジンを発見!
「これハネだよ~」って言われても、

私にとっては価値ある「ラブラブ★ニンジン」なんですっっ!!

隣同士、離れたくないと、お互いに寄りそって、
こうして土の中に埋まっていたんです。

自然なままにいきている、
そんなニンジンを見て、すっごく嬉しくなり思わずパチリ。

そして、この「ラブラブ★ニンジン」は、もちろん大切に持って帰り食することにいたしました。

*ニンジンはものすごく甘くて、ジューシーでした。生のままポリポリと食べる私を
  不思議そうな顔で家族が見てる~(笑)
 
  岩永家のニンジンは皮のままカジってOK

帰り際、岩永お父さんが「トウモロコシも、ほれ、生でかじってみろよ」とむいてくれたら
そこには子供ちゃんが!!!

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うわぁ~、こんなのはじめてみた。
生命ってすごいなぁと・・・。

そして、畑で満悦な顔をしてニンジンを持つ私。
葉っぱがこんなに長いんですよ。

*岩永家のニンジンは畑で完熟させてから出荷するため、
  残念ながら葉は硬くて食せませぬ。

ninjin.jpg


収穫の季節
お忙しい中お時間をくださって、本当にありがとうございます。

でも、毎年のこの季節が、
私に「今年も頑張るぞー」とエネルギーを与えてくれるのです。

生産者さんあってのお仕事、しみじみ今年も身に入りました。

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プロフィール


北村 貴(taka)
フードソムリエ代表


20年間の東京生活を経て、
2004年12月、真冬に
故郷・北海道十勝へ戻る。
よく食べ、よく遊び、よくしゃべる。
特技は四葉のクローバー探し

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