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日本穀物科学研究会でのお披露目

前回お話したおり、2月7日大阪、エコール辻にて第137回日本穀物科学研修会の例会・総会がありました。

 その中で製パンにおける国内産小麦の機能性の追求と題して、エコール辻の教授である吉野精一先生にデモンストレーションを取り入れた講義を行いました。136回の研究会では、今度デビューする超強力小麦”北海261号”の講習を引き継ぎ”じゃ、現状の小麦じゃどうなる、どうする?”といったところみたいでした。
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 パンの理屈とかにはまったく無知の私。ただただドキドキしながら”どうなるんだべか?”と思いながら様子を伺っていました。今回、作っていただいたのは一般的な中種法の角食パンと菓子パン(アンパン・金時パン)でした。
 菓子パンは中種(春よ恋)80%+本生地(ホクシン)20%のもの。フロアタイムというのを若干長め(40分)でとっていました。ミキシングは業界でも新しいやりかたのスタンピングミキサーというものを使用。この機械の特徴は日本古来の餅つき機を改良したものだそうです。国産小麦の場合、グルテンが壊れやすく水も入りにくいという性質があるみたいですが、この機械は従来のミキサーよりも空気、水がよく入る、グルテンを壊しづらい、短時間で生地ができる。ということでなんでも新しいやり方で会場でも興味深々とミキサーの周りに人だかりができていました。
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 角食パンは中種に春よ恋50%+キタノカオリ20%+本生地にキタノカオリを30%を加えて作ってもらいました。キタノカオリはその名のとおり独特の香りの強さがあり、粉もクリーム色のようなところがあるのが特徴。下は生地を整形する吉野先生。
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”アカデミックやりなさい!”とのアドバイスからも、粉の数値をしらなければ感覚だけで、経験がないとどうなるかわかりません。製粉会社からいただいた数値をもとに、現状をつかんでおくことも重要なこと。
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講習最後に、私も教壇に立たせていただき、品種、年次、風土、肥培管理、収穫時期によっても小麦は変わりますと説明。国産小麦の更なる使用が、農家自体の増産意欲をそそり、ゆくゆくは自給率の向上にも繋がるのではとお話させていただきました。農家がこの会に出席するというのは極めてまれなようで、実際、会場の多くの方が粉を扱う業体でしたが、小麦のまんまというお話はなかなか知らないことが多いと興味深かっかったようでした。

 前田農産の粉を使っていただき美味しいパンを試作していただいたことはもとより、多くの日本の小麦粉業態を引っ張っているリーディングカンパニーの皆様に出会えたのはなにより貴重なことだと思いました。大阪や関西にも、ごっつぅ力入れて北海道小麦を愛用してもらっているパン屋さんも沢山いることがわかり、まだまだ小麦ワールドの可能性をかんじましたね~。
吉野先生、エコール辻の皆様、感謝申し上げます!これからが日本小麦の見せ所です!

 実際、最後にわかったのは究極のところ、小麦も粉挽きもパンも最後はやっぱり人の手で違うということ。作り方やこだわりで相当違うと思いました。美味しいさ際立ちますね、プロの腕にかかると!

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コメント (6)

手づくりパンの店 Panoの竹本です:

穀物科学協会では、最後の最後までお疲れ様でした。
HPを見て!頑張ってますよね~
美味しい小麦粉を大切に活かあえだせるように自分達もがんばります!
前田さんの小麦粉を使おうと思ったら・・・
江別製粉からになるのですか?
1キロ入りのキタノカオリ等は、ウチの店に置きたいと思えば・・・卸値で入れることは出来るのですか?

いつになるかは、わかりませんが必ず行かせてもらいます。
お互いに身体あってのことなんで気をつけてくださいね!

何かありましたら携帯電話にメールお願いします。
なかなか家でパソコンを開くことが少ないので宜しくお願いします。

しげぱぱニコニコ:

Panoさん

 メールどうもありがとうございます!先日は大変お世話になりました。試作から、懇親会・2.3次会と深夜までご一緒させていただき誠にありがとうございました。

 大坂にもごっつぅ(あってます?)あついパン屋さんがいることがわかり、大変ありがたく感じました。

 キタノカオリの愛用パン屋さんだと聞きました。確かに独特のかおりが売りとクリーム色が特徴的。焼き上がりの香りも強いかと思います。美味しいパン屋がやけてるんだろうなと想像してますよ~。
 粉のことに関しては別途連絡させていただきますね。流通網をひき次第安定的に供給できるようにしたいです。

また連絡しますね~。

no-ota:

 こんにちは、no-otaです。本別農協青年部も総会の季節を迎えていることと思います。本別青年部長1年間お疲れ様でした。もしかしたら再選してたりして?
 そちらの農場で生産されている小麦粉は、どちらに出荷されているのですか?帯広のホテルで焼いているパンがおいしくて、そういえば品種はハルユタカだったような、もしかしたらシゲさんの小麦なのかなと思ってみたりして。
 自分は、20代のころまだスプレヤーをキャビンのトラクターでしょっている人はあまりいなくて、それこそマスクもしないで霧ノズルの追い風を浴びながら作業したもんで、そのせいか、30歳を過ぎたあたりから抗生物質とか飲み薬が効かないなーなんて思っていたら、突然喘息発症しまして、いまだに病院通いしています。近所の物知りさんに聞いたところによると、小麦は船で来るとき虫がわいたりするもんだからどっさり薬をかけるそうな、そんなんだからアレルギー疾患なんて減るわけなんてないんだーと力説されていました。でも自分のみに置き換えてみると、自分は、朝ごはんパンを食べているのでそういったことも積み重なると起こるのかしらなんて思ったら少し怖くなりました。
 本州では水田の効率利用や自給率のアップを目指して米粉の増産に国が動き出すそうな。そうなると北海道の小麦は、高いし量では外国にかなわないしで存在が薄くなるんじゃないかなんて某農機具屋さんの研修でゆっておりました。
 日本農政は、手と足と頭がばらばら見たいなもんですから、イシバさん頑張って欲しいななんて期待していたんですけどまたもや永田町に暗雲が立ち込めてきているので目が離せません。
 もうすぐビートが始まりますね、中古ですがチゼルプラウも購入できたので早く雪解けないかなーなんて倉庫の機械をいじくりながら楽しみにしている今日この頃です。

前田 一樹:

沖縄の前田です。

いただいた小麦粉でパンを焼いてみました。

石垣島で販売しているものより、
格段においしくてびっくりしました。

おかげでパン焼き器がフル回転の状態です(汗)

本当にありがとうございました。

早く店頭で見れるのを楽しみにしております。

しげパパニコニコ:

no-otaさん

 メールありがとうございます!実は当り!左遷されずに、もう一年、青年部の部長を勤めさせていただきます。JA本別青年部の活動量は半端でないですよ~。特に子供農業体験は!私はこれしか青年部はまとまる方向性がないと感じています。”農政じゃない、外国の諸事情じゃない、結局、消費者ありきの農業だ”と。そのためにまづは地元の人たちに地元の農業をしってもらおう!と4支部それぞれが独自に動いてます。問題?ありですよ、それは。充実感?農業の意識?それもありますよ。まだまだ点の動きですが、ちっちゃな経済循環がやがて大きな循環になって我々生産者に還ってくることを信じて活動してます。池田町青年部はどうですか?
 小麦粉は十勝では、デパートの藤丸さんにおいていただいておりますよ、4品種。ホクシン、キタノカオリ、春よ恋、ハルキラリです。
 ”農薬”農家が一番の被爆者ですよね~。ちょっと更生物質までは問題ですね。確かにマスクやゴーグルしたって完全ではないところありますからね。私も気をつけてます。特に自分よりも子孫に影響ないのかって。ポストハーベストの問題はどこまで深刻なのか正直わかりません。個人的には日本の小麦は安全性、栄養価の面からも全粒粉するべきじゃないかと。確かに外麦なしには、柔らかいパンはたべられないのが実情で、食料安全保障上、また我々の補填金のめんからもお互いに補完すべきだと思います。
 政治はかわりますね~。この頃劇的ですよね。興味がないわけじゃないですけど、”政策などの外的要因に振り回されない農業”を目指す必要性を感じています。
 うちはビートポット終わりました3月3日に。今年も事故、病気に気をつけて頑張りましょうよ!
 

しげぱぱニコニ:

kazukiさん

 メールありがとう!そして、これからいよいよだね~!
ブログに近々発表します!壮大な計画。でも、命を繋ぐのは結局、”食”なんです。桃太郎のきび団子じゃないけど、世界を目指す挑戦に、お供させてもらうよ~。いろいろ作業写真とっといてね~。

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プロフィール


前田 茂雄(まえだ しげお)

【プロフィール】
1974年 北海道・本別町生まれ。
東京農業大学 卒業後、テキサスA&M州立大学、アイオワ州立大学にて米国の大規模農業経営や流通を学ぶ。
1999年 前田農産食品合資会社の4代目として本別町で就農。
103ヘクタールの耕作地で、小麦(ホクシン、北の香り、春よ恋)小豆(エリモショウズ、キタノオトメ)、甜菜を生産。

三児のパパ。
趣味:テニス、映画鑑賞、旅行。
(写真提供:日本農業新聞)

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2009年02月10日 16:09に投稿されたエントリーのページです。

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